納屋から館へ三世代史
五十年前、館の主が子供だった頃、この辺りはどちらを向いても水ばかりの村だったとか。春は小麦、夏はい草、秋に米と、四季豊かな水郷地帯だったといいます。橋もなく、村と村を結ぶ道が一本あるのみだから、主たる交通路は川であり、岸辺の小舟が渡し舟ともなっていたそうです。この館は主の祖父がこの周辺の農耕の活動拠点として建てた離れ納屋でした。稲わら、けん杭、い草の農具を小舟に積んで近隣の農地へ行き来していたとか。父の代にトラクターなどの農機具を収納する物置となり、三世代半世紀を経て今日の仕事場、兼住処に改築されるにいたったのです。